慰謝料の支払督促が届いたら:裁判所の文書と相手からの催促を分ける
相手から届く催促状と、裁判所から届く支払督促は、同じ対応では済みません。請求に心当たりがなくても、裁判所の書類を放置しないでください。まず表題、裁判所名、事件番号、受領日を確認し、添付された説明に対応する期限を読みます。
封筒ごと保存する確認表
| 項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 表題 | 支払督促か仮執行宣言付か、別の書類か |
| 受領日 | 異議などの期間を計算する出発点を確認 |
| 事件番号・裁判所 | 正規の問い合わせ先で書類を確認する |
| 請求内容 | 元金、遅延損害金、原因、当事者を分ける |
| 説明・用紙 | 提出先、期限、提出方法を確認 |
金額への不服と、払えない事情を分ける
仮に請求額を争っている場合と、金額は認めるが分割を望む場合では、相談内容が異なります。「払えないので無視する」という一つの方針にせず、どこを争うか、何を合意しているかを資料にして弁護士へ伝えます。
支払督促が届いてからの流れと期限
支払督促は、請求する側の申立てだけで簡易裁判所の裁判所書記官が出す書類です。こちらの言い分を聞かずに発せられるので(民事訴訟法(e-Gov法令検索)第386条1項)、届いたこと自体は「請求が正しいと裁判所が認めた」という意味ではありません。ただし放っておくと、次の段階へ進みます。
| 段階 | 何が起きるか | 期限と注意 |
|---|---|---|
| 支払督促が届く | 請求の内容と、督促異議の申立て方法の説明が同封されています | 受け取った日を記録します。ここから期間を数えます |
| 督促異議を出す | 支払督促を出した裁判所書記官のいる簡易裁判所に申し立てます(第386条2項) | 受け取った日から2週間以内に出さないと、相手の申立てで仮執行の宣言が付きます(第391条) |
| 仮執行宣言付支払督促が届く | 相手はこれをもとに強制執行を申し立てられるようになります(裁判所「支払督促」) | これを受け取った日から2週間を過ぎると、もう督促異議はできません(第393条) |
| 異議の後 | 請求額に応じて、簡易裁判所か地方裁判所の通常の訴訟に移ります(第395条) | 訴訟の中で、慰謝料を払う責任があるか、金額が妥当かを争います |
督促異議を出すかどうかの考え方
督促異議は「請求をすべて否定する」場合だけのものではありません。次のどれに当たるかを分けて、弁護士に相談するときに伝えます。
- 請求の理由そのものを争う:交際の事実がない、既婚者だと知らなかった、配偶者が交際を知ってから3年以上たっている(時効)など。時効の考え方は不倫慰謝料の時効と期限の一覧にまとめています。
- 金額だけを争う:責任は認めるが、請求額が高すぎると考える場合です。
- 金額は認めるが一括では払えない:異議を出して訴訟に移したうえで、分割払いなどの話し合い(和解)を目指す進め方があります。
どの場合も、2週間の期間は待ってくれません。弁護士との相談日が先になるときは、期間内に異議を出しておき、理由や主張は訴訟の中で整えるという順番も考えられます。具体的な出し方は、同封の説明書きと受け取った裁判所の窓口で確かめてください。
真正性を確認するとき
書類の電話番号やQRコードだけに頼らず、裁判所公式サイトの連絡先から確認します。裁判所の確認をしている間も手続きの期間に注意し、受領日を伝えて相談してください。裁判所の現在の案内は、支払督促を受け取ってから2週間以内の異議を説明しています。仮執行宣言付の書類には別の段階の説明があります。書面の種類、送達、起算と実際の期限は、受領日を伝えて直ちに裁判所・弁護士へ確認してください。
よくある質問
支払督促を無視するとどうなりますか。
受け取った日から2週間以内に督促異議を出さないと、相手の申立てで仮執行の宣言が付きます。仮執行宣言付支払督促が届くと、相手は強制執行を申し立てられるようになり、それを受け取ってから2週間を過ぎると督促異議もできなくなります。
相手からの催促状と支払督促はどう見分けますか。
支払督促は簡易裁判所の裁判所書記官が出す書類で、事件番号や裁判所名が書かれています。書類にある電話番号ではなく、裁判所の公式サイトに載っている連絡先へ問い合わせて、本物かどうかを確かめてください。
督促異議を出すと裁判になりますか。
はい。適法な督促異議があると、請求額に応じて簡易裁判所か地方裁判所の通常の訴訟に移ります。訴訟の中で、慰謝料を払う責任や金額を争ったり、分割払いの話し合いをしたりします。
出典
裁判所「支払督促」、裁判所「督促手続オンラインシステム よくある質問」、民事訴訟法(e-Gov法令検索) 第382条・第386条・第391条・第393条・第395条(いずれも2026年10月25日確認)。2026年の民事訴訟法改正の施行後、条文上の名称は「電子支払督促」になっています。