不倫慰謝料請求の弁護士費用相場|着手金・報酬金の内訳

最終更新日: 2026-07-23

この記事の結論

  • 不倫慰謝料請求を弁護士に依頼する場合の費用相場を解説します。
  • 相談料・着手金・報酬金・実費の内訳と旧報酬基準を参考にした計算目安、弁護士費用特約や法テラスの立替制度の使い方、依頼前の確認ポイントまで整理しました。
  • 本記事では、弁護士費用に統一の「相場」がない理由/弁護士費用の主な内訳/着手金・報酬金の計算方法の目安(旧報酬基準ベース) を扱っています。

不倫慰謝料の請求を弁護士に依頼したいが、費用がいくらかかるか分からず相談をためらう方は多くいます。結論として、現在は弁護士費用に法律上の統一相場はなく、事務所ごとに料金は異なります。ただし、相談料・着手金・報酬金・実費という費用の構成要素と、多くの事務所が参考にする目安を理解しておけば、見積もりの内容を比較・判断しやすくなります。本記事では、費用の内訳と目安、負担を抑える制度を解説します。

弁護士費用に統一の「相場」がない理由

かつては日本弁護士連合会(日弁連)が弁護士報酬の基準を定めていましたが、2004年(平成16年)4月1日の弁護士法改正に伴い、この報酬基準は廃止されました。現在は各弁護士が依頼者との協議によって自由に料金を定める仕組みになっています。そのため、事務所によって着手金の有無や報酬金の計算方法は異なり、「相場はいくら」と一律に言い切ることはできません。もっとも、多くの事務所が旧基準の考え方を参考に料金体系を組んでいるため、目安を知っておくことには意味があります。

弁護士費用の主な内訳

相談料

正式に依頼する前の法律相談にかかる費用です。初回相談を無料とする事務所も多くありますが、有料の場合は30分ごとに一定額を定めている例が一般的です。

着手金

弁護士に事件の依頼を行う段階で支払う費用です(法テラス「費用の目安(概要)」)。結果の成否にかかわらず、依頼時に発生するのが原則です。近年は、着手金を低額または無料にする代わりに、成功時の報酬金を高めに設定する「完全成功報酬制」に近い料金体系を採る事務所もあります。

報酬金

事件が成功に終わった場合に支払う費用です。成功の程度や事件の難易度に応じて金額が変動し、全面的に主張が認められなかった場合は発生しないのが一般的です(同上)。慰謝料請求では、実際に支払われた金額や合意が成立した金額を基準に算定されることが多いとされています。

実費・日当

実費は、裁判所に納める印紙代や郵便切手代など、手続きのために実際に支出する費用です(同上)。日当は、遠方の裁判所への出頭など、弁護士が事務所外で活動する際に発生する費用として設定している事務所があります。

着手金・報酬金の計算方法の目安(旧報酬基準ベース)

2004年に廃止された旧・日弁連報酬基準は、現在では法的な拘束力を持ちませんが、今も多くの事務所が計算方法のベースとして参考にしています。旧基準の民事事件(訴訟事件)の考え方は次のとおりです。

経済的利益の額 着手金の目安 報酬金の目安
300万円以下 8% 16%
300万円を超え3,000万円以下 5%+9万円 10%+18万円
3,000万円を超え3億円以下 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超える場合 2%+369万円 4%+738万円

旧基準では着手金の最低額は10万円とされ、示談交渉や調停から受任する場合はこの額の3分の2に減額できるとされていました。あくまで参考値であり、実際の料金は依頼する事務所の料金表・委任契約書で確認する必要があります。「経済的利益」は、慰謝料請求では請求額ではなく、実際に獲得できた(合意・認容された)金額を基準に算定する事務所が多い点にも注意してください。

不倫慰謝料請求で費用を左右する要素

  • 交渉のみで解決するか、調停・訴訟まで進むか(手続きが進むほど労力・費用は増える傾向)
  • 相手の身元がすでに特定できているか(不倫相手が特定できない場合は調査費用が別途発生することがある)
  • 証拠の整理状況(証拠収集や整理に時間がかかるほど工数が増える)
  • 離婚するかどうかなど、事件の全体像(離婚しない場合の不倫慰謝料請求のように、離婚事件とセットにならない分、比較的シンプルな事件として扱われることもある)

内容証明郵便の送付から交渉までを弁護士に依頼する場合の流れは、不倫慰謝料の内容証明郵便の書き方と文例で解説している内容と共通する部分が多く、あわせて確認しておくと依頼範囲を判断しやすくなります。

費用の負担を抑える方法

弁護士費用特約

自動車保険や火災保険、傷害保険などに付帯していることがある特約で、条件を満たせば弁護士費用の一部または全部が保険から支払われます。ただし、保険会社や商品によって不倫・離婚関連の事案が補償対象外とされている場合もあるため、契約している保険の約款を確認するか、保険会社に直接問い合わせて対象かどうかを確認してください。

法テラスの民事法律扶助(立替制度)

収入・資産が一定の基準以下であるなど、法テラスの定める要件を満たす場合、弁護士費用等の立替えを利用できる制度があります。主な要件は、収入と資産が資力基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適することの3点です(法テラス「民事法律扶助業務」)。立て替えられた費用は原則として分割で返済しますが、生活保護受給中などの事情がある場合は返済が猶予されることもあるとされています。利用を希望する場合は、最寄りの法テラス窓口へ相談してください。

複数の事務所へ相談・見積もりを比較する

初回相談を無料としている事務所も多いため、着手金の有無、報酬金の算定基準、実費・日当の目安を複数の事務所で比較し、料金体系を書面(委任契約書・報酬基準表)で確認したうえで依頼先を決めることをおすすめします。

依頼前に確認しておきたいポイント

確認項目 確認する目的
着手金の有無・金額 依頼時に必要な初期費用を把握する
報酬金の算定基準 「経済的利益」の定義(請求額か獲得額か)を確認し、想定額との差を把握する
実費・日当の目安 着手金・報酬金以外に発生し得る費用を確認する
分割払いの可否 まとまった費用をすぐに用意できない場合の選択肢を確認する
委任契約書の有無 口頭説明だけで済ませず、書面で条件を残しているかを確認する

見積もり段階で金額の内訳や算定基準が曖昧な場合は、契約前に必ず質問し、書面で明確にしてもらうことが、後日のトラブル防止につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 弁護士費用が慰謝料の受取額より高くなることはありますか。

A. 請求額が小さい事案や、獲得できる慰謝料の見込みが低い事案では、費用倒れ(弁護士費用が受取額を上回る)のリスクがあります。依頼前に、想定される獲得額と費用の見通しを弁護士に確認しておくことをおすすめします。

Q2. 弁護士費用は不倫相手に請求できますか。

A. 弁護士費用は原則として依頼者本人の負担であり、当然に相手方へ転嫁できるものではありません。裁判で一定の範囲が損害として認められる例はありますが、常に認められるわけではなく、個別の事案によります。

Q3. 法テラスの立替制度は誰でも利用できますか。

A. 収入・資産が資力基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、制度の趣旨に適することという要件があり、誰でも無条件に利用できるわけではありません。詳しい要件や申込み方法は、法テラスの窓口にご確認ください。

免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断や弁護士費用の見積もりは弁護士等の専門家にご相談ください。費用の水準や制度の利用可否を保証するものではありません。相談先に迷う場合は、法テラス(日本司法支援センター)や各地の弁護士会の法律相談窓口をご利用ください。

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この記事の監修弁護士

松本 理平 弁護士

第一東京弁護士会 登録番号 55199

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