肉体関係がないのに慰謝料請求された場合|証拠がない不貞行為の判断基準

この記事の結論

  • 配偶者と異性の親密な関係に肉体関係(不貞行為)の証拠がない場合でも慰謝料を請求できるのかを解説。
  • 不貞行為の原則的な考え方、プラトニックな関係でも請求が認められ得る例外的なケース、金額への影響、集めるべき証拠と進め方を整理します。
  • 本記事では、原則:慰謝料請求の中心は「不貞行為」/例外:肉体関係がなくても認められ得るケース/認められる場合でも金額は低くなる傾向 を扱っています。

配偶者が特定の異性と頻繁に連絡を取り、二人で食事やデートを重ねている――しかし肉体関係までは確認できない。このような「プラトニックな不倫」でも慰謝料を請求できるのかは、相談の多いテーマです。結論としては、原則は難しいものの、例外的に認められ得るケースがあります。本記事では、その判断の考え方を解説します。

原則:慰謝料請求の中心は「不貞行為」

判例上、慰謝料請求の対象となる「不貞行為」は、配偶者以外の者と自由な意思で性的関係を持つことを指すとされています。単に親しく交際している、二人で食事に行くといった事実だけでは不貞行為には当たらず、慰謝料請求は認められないのが原則です。

例外:肉体関係がなくても認められ得るケース

裁判例の中には、肉体関係が認定されなくても、夫婦の婚姻共同生活の平和を害する程度に親密な関係があったとして、慰謝料請求を認めたものがあります。個別の裁判例は裁判所「裁判例検索」で調べることができます。考慮されやすい事情は次のとおりです。

  • 頻繁な宿泊を伴う旅行や、深夜までの密会が繰り返されている
  • 恋人同士と評価できる内容のメッセージのやり取りが継続している
  • その関係が原因で別居や離婚など婚姻関係の破綻に至った
  • 配偶者としての立場を無視した交際を、注意されても続けた

ポイントは、「関係の親密さ」と「婚姻関係への具体的な悪影響」の両方を、証拠で示せるかどうかです。単発のデートや儀礼的なやり取りでは認められにくいと考えられます。

認められる場合でも金額は低くなる傾向

肉体関係が認定される事案と比べて、プラトニックな関係に対する慰謝料は低額にとどまる傾向が指摘されています。婚姻期間、関係の期間・頻度、婚姻関係への影響(別居・離婚の有無)などによって評価は変わり、公的に定められた一律の相場はありません。

集めておきたい証拠

証拠示せる事実
メッセージのやり取り関係の親密さ、継続性、呼び方や内容
デート・旅行の記録(写真、明細、予約履歴)会っていた頻度と態様
家計・行動の変化の記録帰宅時間の変化、支出の増加など婚姻生活への影響
夫婦間の話し合いの記録注意しても関係を続けたという経緯

メッセージは一部の切り取りではなく、時系列がわかる形で保存することが重要です。具体的な方法はLINEのやり取りの証拠価値と保存方法で解説しています。

請求の進め方と注意点

  1. 証拠を整理し、弁護士に「請求が現実的か」の見通しを確認する
  2. 請求する場合は、内容証明郵便等で書面により行う
  3. 示談で解決する場合は、接触禁止条項などを含む合意書を作成する

証拠が弱い段階で感情的に相手を問い詰めると、証拠隠滅や逆に名誉毀損等の主張を受けるリスクがあります。また、請求が認められる見込みが低い事案で強引に金銭を要求すると、恐喝などの問題に発展しかねません。判断に迷う場合は、行動を起こす前に法テラスや弁護士への相談を強くおすすめします。依頼する場合の費用の目安は不倫慰謝料請求の弁護士費用相場を参考にしてください。婚姻を継続しながら請求する場合の考え方は離婚しない場合の不倫慰謝料も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 手をつなぐ・キスまでの関係でも請求できますか。

A. 一律には判断できません。関係の継続性や婚姻関係への影響しだいで、認められた例も認められなかった例もあります。証拠を整理して弁護士に見通しを確認してください。

Q2. 相手が「体の関係はない」と主張しています。

A. 肉体関係の立証が難しい場合でも、親密な関係の継続と婚姻関係への影響を示す証拠があれば、請求を検討できる場合があります。

Q3. 配偶者本人にだけ慰謝料を請求することはできますか。

A. 理論上は可能ですが、婚姻を継続する場合は実益が乏しいことが多く、誓約書などで再発防止を約束させる方法も選択肢になります。

Q4. 二人きりの食事を1回しただけでも請求できますか。

A. 単発の食事だけでは、婚姻共同生活の平和を害する行為と評価されにくく、請求は難しいと考えられます。

免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。慰謝料請求の成否や金額を保証するものではありません。相談先に迷う場合は、法テラス(日本司法支援センター)や各地の弁護士会の法律相談窓口をご利用ください。

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