ダブル不倫の慰謝料請求|逆請求・求償のリスクと注意点を徹底解説

最終更新日: 2026-09-13

この記事の結論

  • 既婚者同士の不倫(ダブル不倫)で慰謝料を請求する場合の特有の問題を解説。
  • 相手配偶者から自分の配偶者へ逆に請求されるリスク、求償権による実質的な相殺、示談で解決する際の条項の工夫、証拠と相談の進め方を一般的な考え方に沿って整理します。
  • 本記事では、ダブル不倫の登場人物と請求の構造/W不倫特有のリスク/示談で解決する場合に検討したい条項 を扱っています。

配偶者の不倫相手も既婚者だった、いわゆる「ダブル不倫(W不倫)」のケースでは、通常の不倫慰謝料請求とは異なる特有の問題が生じます。自分が相手に請求すれば、相手の配偶者から自分の配偶者に対して請求が返ってくる可能性があり、結果として家計全体で見るとお金が行き来しただけになることもあります。本記事では、ダブル不倫の慰謝料請求で押さえておきたい構造とリスク、進め方の考え方を解説します。

ダブル不倫の登場人物と請求の構造

ダブル不倫では、当事者が4人(自分・自分の配偶者・不倫相手・不倫相手の配偶者)になります。不貞行為をした2人は、それぞれの配偶者に対して共同で損害を与えたと評価され得るため、請求の組み合わせが複数発生します。

  • 自分 → 不倫相手への慰謝料請求
  • 自分 → 自分の配偶者への慰謝料請求(婚姻を続ける場合は現実的でないことが多い)
  • 不倫相手の配偶者 → 自分の配偶者への慰謝料請求
  • 不倫相手の配偶者 → 不倫相手(自分側から見た相手)への請求

W不倫特有のリスク

1. 逆請求により実質的に相殺される

自分が不倫相手に慰謝料を請求すると、それをきっかけに相手の配偶者が不倫の事実を知り、自分の配偶者へ請求してくることがあります。双方の家庭が婚姻を継続する場合、家計単位で見れば支払いと受け取りが打ち消し合い、弁護士費用や精神的負担だけが残る結果になりかねません。

2. 相手の家庭に不倫が発覚するきっかけになる

請求の通知によって相手の配偶者が初めて不倫を知るケースもあります。発覚後の展開(相手家庭の離婚、逆請求、職場への波及など)まで見据えて、請求するかどうか自体を検討する必要があります。

3. 求償権の問題

不貞行為の慰謝料は、不倫をした2人が共同不法行為として連帯して責任を負うと考えられています(e-Gov法令検索の民法719条・442条)。不倫相手が全額を支払った場合、その人は自分の負担分を超える部分について、もう一方の不倫当事者(自分の配偶者)へ求償できるとされる場合があります。婚姻を続けるなら、受け取った慰謝料の一部が配偶者経由で実質的に戻っていく可能性を考慮する必要があります。求償権の基本的な考え方や負担割合の整理は求償権とは何かの解説で詳しく取り上げています。

示談で解決する場合に検討したい条項

ダブル不倫では、双方の家庭への波及を抑えるため、裁判よりも示談で解決が図られることが少なくありません。示談書には一般的な条項に加え、次のような内容を検討する余地があります。

条項 目的
求償権の放棄 支払った不倫相手が自分の配偶者へ求償しないことを明確にする
秘密保持条項 双方の家庭・職場への口外を防ぐ
接触禁止条項 不倫関係の再発を防ぐ
清算条項 当事者間で追加の請求をしないことを確認する

示談書に盛り込むべき基本的な項目や公正証書化については、不倫の示談書の書き方と必須項目で詳しく解説しています。

請求前に整理しておきたいこと

  1. 不貞行為を示す証拠(メッセージ、宿泊記録等)が揃っているか確認する
  2. 自分の婚姻を継続するのか、離婚も視野に入れるのか方針を整理する
  3. 相手家庭への発覚や逆請求まで含めた展開を想定する
  4. 弁護士に相談し、請求の可否・金額の見通し・進め方を確認する

LINEのやり取りを中心に証拠を集めている場合は、LINEだけで不倫の証拠になるかもあわせて参考にしてください。双方とも婚姻を継続する前提で進める場合は、離婚しない場合の不倫慰謝料で金額への影響や示談条項の考え方を確認しておくと見通しを立てやすくなります。

弁護士に相談するメリット

ダブル不倫は当事者が4人おり、請求・逆請求・求償が絡み合うため、自分だけで全体の損得を見通すことが難しいケースです。弁護士に相談することで、逆請求や求償まで含めた見通しの整理、感情的な対立を避けた交渉の代理、求償権の放棄を盛り込んだ示談書の作成といった対応が期待できます。特に相手方にも弁護士が付いた場合は、対等に交渉を進めるためにも専門家への相談を検討する価値があります。相談だけであれば費用は限定的であることが多く、複数の事務所を比較することも可能です。着手金・報酬金の一般的な内訳や目安は不倫慰謝料請求の弁護士費用相場で解説しています。なお、慰謝料の金額自体に固定相場がないことは、裁判所・厚生労働省の公的統計をもとに整理した不貞・離婚の慰謝料と司法統計でも確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. ダブル不倫だと慰謝料は低くなりますか。

A. 一律に低くなるわけではありませんが、双方の婚姻関係の状況や逆請求の可能性などが交渉に影響することがあります。金額の見通しは個別事情によるため、弁護士にご相談ください。

Q2. 相手の配偶者に知られずに請求できますか。

A. 交渉の方法によっては可能な場合もありますが、確実に秘匿できる保証はありません。請求をきっかけに発覚するリスクは織り込んで検討する必要があります。

Q3. 慰謝料を受け取った後、配偶者が求償されたらどうなりますか。

A. 配偶者が負担分の支払いを求められる可能性があります。示談の際に求償権の放棄を条項に入れることで、このリスクを調整できる場合があります。

Q4. 双方の家庭とも離婚しない場合、請求する意味はありますか。

A. 金銭面では実質的な相殺になる可能性がありますが、示談書によって接触禁止や再発防止の約束を書面化する意義はあります。目的を整理したうえで判断することをおすすめします。

免責事項

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断は弁護士等の専門家にご相談ください。慰謝料の金額や請求の成否を保証するものではありません。相談先に迷う場合は、法テラス(日本司法支援センター)や各地の弁護士会の法律相談窓口をご利用ください。

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この記事の監修弁護士

松本 理平 弁護士

第一東京弁護士会 登録番号 55199

監修弁護士プロフィールを見る →

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